
公益社団法人 日本インダストリアルデザイン協会/JIDAは、2022年10月20日に創立70周年を迎えた。
その記念事業のひとつとして、「私とデザイン」 をテーマとした会員のエッセイ集が発刊された。
私も投稿し、掲載していだいた。
この冊子は、おそらく会員にしか配布されないので、それ以外の方が目にする機会はないだろう。
せっかくなので、私のブログ読者にも是非お読みいただきたく、ここに載せてしまいます。

この写真だと読みにくいので、テキストも掲載しましょう↓
JIDA創立70周年記念エッセイ
照明器具に巡りあえた喜び/並木紀之
私の仕事は、照明器具の開発だ。
デザインはもちろん、設計し、工場へ通い、商品化までの作業にひと通り携わる。
『照明』と出会ってから、30年以上が経過した。
これまでの経緯をここに記したい。
デザイン事務所に勤務していた20代半ば、照明器具会社に転職した。
入社して間もなく、海外の協力工場へ出張。
当初は(希望とは異なる)製造に関する業務が主だった。
しかし、これが照明器具にハマるきっかけに。
照明器具には構造がシンプルなものがあり、設計を勉強したことがない私でも理解でき、製造図面が描けたのだ。
そして『光』そのものが持つ魅力にも惹かれていった。
30歳目前で、先輩が経営するデザイン事務所を手伝うこととなり、照明会社を退職。
同時にフリーでデザイナーとしての業務をスタート。
直ぐにデンマークの照明会社から、開設したばかりの日本支社を手伝うよう依頼があり、快諾。
社内レクチャーでポール・ヘニングセンさんのデザインに感銘を受け、益々、照明器具の虜になっていった。
そして、インゴ・マウラーさんの存在が私に大きな刺激を与えてくれた。
2019年に逝去したが、彼が創造した数々の照明器具は、永遠に賞賛されるであろう。
縁あって日本版取扱説明書の製作をしているが、そのユニークなデザインにいつも驚かされる。
2021年、後輩の要請により、もと居た会社と業務委託契約を結んだ。
社員に混じり照明器具の開発を行っている。その会社(YAMAGIWA)は、2023年に創業100周年を迎える。経営会社が移行するなどの変化はあったが、優秀な社員達は今も健在だ。
私は、照明器具に巡りあえたことに幸運を感じる。
様々な素材と光源を組み合わせることで成り立つプロダクトは、とても自由で魅力的だ。
今後も仲間と一緒に、その『自由』を大いに羽ばたかせていきたいと思っている。

エッセイには、ポール・ヘニングさんがデザインした 『PH5』 と、インゴ・マウラーさんデザインの 『yayaho』 の写真を合わせて掲載した。
どちらも照明器具の歴史を飾る名作中の名作だ。
その隣に私がデザインした 『Pure White』 を並べていただいた。 (ちょっと図々しかった? 笑)
ここに、器具の写真を提供いただいたルイスポールセンジャパンさんとスタジオノイさんには、改めて感謝申し上げます。
ありがとうございました。